アメリカの田舎町の床屋
私はアメリカの床屋についてあまり良い話を聞いた事がなかった。洗わずにずっと同じはさみを使い続けるとか、左右対称には決して切ってもらえないとか。
そんな私がアメリカから帰国前に、思い出作りと恐いもの見たさで初めて行ってみた時の話。
店に入ると
「予約は?」と聞かれ、
「(予約必要なの?と思いながら)いえ、ないですけれど。」
「じゃあ30分くらいしたらまたきてね。バイバイ。」
というやりとりがあり、でやや拍子抜け。
30分してまた戻り、いよいよ鏡の前の椅子に座った。
すると何やら隣の客と店員が口論しているようだったので見ると、驚く事なかれ、30分前に来た時にいた長くてきれいな髪の客はすでにこの世に存在しておらず、何とも中途半端に髪をバッサリと切られ悲惨な髪になった人(注:同一人物)が座っているではないか。
長いサラサラヘアーからブロッコリーになった感じだ。
「何でこんなに切るのよ!これどうしてくれるわけ!」怒る客。当然。
「そんな事言われてももう遅いわよ!それにこれがあなたにベストの髪型よ!」
何故か逆ギレのおばさん店員。
結局5分ほどの口論の後、何と客が敗北し
「そうね、見慣れたら悪くはないわね。」
と言い残し帰っていった。「見慣れたら」ってちっとも解決になってないんですけれど、、。
そして「さてこの若者はどう料理しようかしら」と言わんばかりの表情でこちらに近づいて来る
おばさん店員。まさにまな板の上の魚!もはや逃げられず!覚悟を決めかけたその時、
若い女の子店員が出勤してきて、その子が見事な腕前で切ってくれ何とかピンチを脱出した。
もう絶対に行きません。